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あなたの、そのほっとした顔を見ると嬉しくなる。 こんなことしかできないけれど、たまには甘えてね。 私は、いつだって、あなたのことを――――――。 「ごちそうさま!」 新一が、丁寧に手を合わせてそう言った。 「ちょっと、久しぶりだよね?新一の家にご飯つくりにくるのって」 「そうだな・・。でも、今日もうまかったぜ」 「ほんと?ありがと」 クスッと笑う。 相変わらず、新一は栄養管理なんて自分では考えようとしないらしくて、 でも、こうやってなんだかんだ言いながら世話を焼けるのは嬉しかったりする。 もっとも。 今はようやく恋人同士になって、そうたびたびではないとはいえ、 新一の家にご飯をつくりに行くことを、やっぱりお父さんは気に入らないらしい・・。 それは仕方がないかなって思う。 心配してくれてるんだよね。 だけど、これは私がしたいと思ってやっていることだから。 綺麗に平らげてくれた後の食器を手に、キッチンに向かおうとしたら、慌てて新一に止められた。 「お・・おい、いいって。オレがやるからさ」 新一は、そうやって気を遣う。 でも、いいんだよ? ほんとうに、私がしたくて、やっていることなんだから・・。 「いいよ、新一。気にしないで?ほら、向こうで座ってていいから」 そう言って促してみたけれど、 「けど・・わざわざメシつくってもらって、そのまんまってわけにもいかねえだろ?いつも甘えちまってるけど」 もう・・。 甘えてくれても、いいのに。 でも・・・・・・。 ・・・・・・。 ほんの少し、首をひねって考えてみる。 「じゃあ、じゃんけんして、負けたほうがお皿洗いするっていうのはどう?」 「へっ?」 私の提案に、一瞬新一が目を丸くした。 「別に・・いやなら、いいのよ?私が洗うって、言ってるんだから・・」 「いや・・うん。わかった、それじゃ、負けたほうがやるんだな?」 新一は、ちょっぴり子どもっぽい、楽しそうな色を瞳にのぞかせた。 ふとしたときに垣間見る、ひとつひとつの表情が、いとおしくて仕方がない。 子どもに戻ったみたいだね。 じゃんけんなんて、いったいいつしたんだろう? 自分で提案したことなのに、なんだか笑いがこみ上げる。 ――――――じゃんけんPON! 「・・あ・・・・・・」 思わず、互いに出された手を凝視して、目を瞬いた。 私はチョキ。 新一はグー。 しばしの沈黙を破って、私は笑う。 「ほら、もう気が済んだでしょ?最初っから新一はゆっくりしててくれればよかったんだから」 「え・・いや・・」 いつもとは打って変わって、やや歯切れの悪い言葉を繰り返す新一の背中を押して、リビングに向かわせた。 さてと。 食器を運んで、片付けに取り掛かる。 そう・・。 最初から。 じゃんけんに、勝っても負けてもよかった。 きっと・・。 新一の気遣いが嬉しかった。 子どもみたいなことして、笑って。 それが、楽しくて・・。 自然と顔がほころぶのを感じながら、お皿を手にとって洗い始めた。 次の食器に手を伸ばしたとき、触れたのはそれではなくて、 あたたかい感触だった。 「・・・・・・?」 顔を向けると、新一が食器を取っていた。 「・・し、新一。どうしたの?ゆっくりしてて・・」 びっくりして声をかけたら、 「いいんだよ」 照れているのか、ぶっきらぼうな言葉ひとつをこぼして、黙々とお皿を洗い始めた。 新一・・・・・・。 「・・オレが・・そうしたいんだから・・いいんだよ。オメーは気にしなくても」 一緒なのね。 考えていることは、案外よく似ている。 新一の、さりげない優しさが、心にしみる。 こうやって、些細なことでも、同じ時を分かち合えたら嬉しい。 「ありがとう・・」 ふたりきりの静かな空間に、食器を洗う音だけが響いている。 何気ない、そんな、たわいもないことが、あたたかい――――――。 FIN. |
なんだか新婚さんみたいなシュチュエーションですね(笑)。それにしても、いつにもまして駄文です〜(><) 出直してきます・・(どこから・・?・汗)。 |